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※コメント欄だと長すぎるので記事にしますたので御了承願います。
※京極夏彦読んでない人には確実につまんないです。スルーして下さい。
>『じゃ、なにかい?京極堂。
> 亜弥江くんは、アルコォルの力を借りずとも、自分の力のみで、
> 向こう側へ渡る術を身につけたと言うのかい?』
>
>『うへぇ…師匠。最近の女性というものは、スゴいもんですねぇ』
「最近の女性と一まとめで言うと最近の女性に失礼だぞ、鳥口君」
「うへえ、すいません。」
「まあしかし亜弥江君だけに限らずそのような術を持つ人はいるだろうね」
「京極堂、それはどういう事だ?」
「所謂バンギャという人種が居るだろう。
彼女達には『萌え』という能力があるんだ。」
「『萌え』とは、世間で言うヲタクと言う輩が使う言葉のあれか?」
「まあ広い意味で捉えれば似たような物だが、厳密に言うと
ヲタクの『萌え』とバンギャの『萌え』は一寸違うんだがね」
「どのように違うのだ?」
「それを今説明したところで君にはどうせ理解できんよ。
とにかく似て非なるものだとでも思っておきたまえ。
今の話はアルコォルの力を借りずに彼岸に行く術の事だろう?」
「それはそうだが」
「じゃあ黙っておきたまえ。話を戻すぞ。つまり亜弥江君に限らず
バンギャ達は己の贔屓の特定のバンドマンに『萌え』る事により
アルコォルを摂取せずとも何時如何なる時でも彼岸に渡れるのだよ。」
「うへえ、何時如何なる時もですか。」
「そう、例えば雑誌で写真を見る、コンサァト…ライヴと言うのかな?
その後に先程まで見たバンドマンの姿や仕草や表情を思い出す、
その余韻を帰宅した翌日なども記憶を反芻する事に拠って『萌え』るのだ」
「成程、そうして『萌え』て居る時は目の前の現実が見えなくなる、
亜弥江君は『萌え』る事に拠ってアルコォルで酔う事と同じ様に
『萌え』に酔って彼岸に行く、そういう事か!」
「まあそういう事だな。つまりは『萌え』も幸福な現実逃避なのだ」
「確かに仕事で厭な事があった帰りに気の合う連れと一杯やって帰ると
その日の厭な気分がどうでも良くなって機嫌良く帰れますよね。
酒は大人の自己破産ってヤツで」
「それを言うなら免罪符だよ鳥口君。しかしそう考えると
『萌え』という力を与える、『萌え』の対象になるバンドマンは
我々には感じられない余程の魅力があるのだろうな」
「そうだね。亜弥江君が『萌え』て居るのはアイジという名だが
髪の毛の色こそ異星人の様だが容姿端麗でなかなかの美男子だぞ」
「へえ、『萌え』るにはバンドマンの容姿が重要なんですね師匠」
「いや、これが興味深い事にそうとも限らないんだ鳥口君。
世間一般に容姿端麗、眉目秀麗でなくとも『萌え』られる人間も居る」
「容姿は関係ないのか?京極堂。しかし君はさっき『萌え』る為の
要素の中に一番に姿を挙げたじゃないか」
「君は何を聞いているんだい?だから今言ったばかりじゃないか。
世間一般に姿形が良いとか良く無いとかは『萌え』る本人には
それこそどうでもいいことなのだよ。」
「容姿が悪くても『萌え』られると言うのかい?」
「これが『萌え』られるんだな。現に亜弥江君の友人でオノン君と言う
これもバンギャだが彼女は特に容姿端麗ではないバンドマンにも
時に他の追撃を許さないぐらい勢いで『萌え』る事がある」
「そんなに『萌え』られるのか」
「ああ『萌え』られるとも。オノン君が『萌え』て居る対象の
バンドマンは其れこそ関口君と似たり寄ったりの容姿だ」
「うへえ、関口さんみたいな容姿なんですか」
「別に顔が南国系の猿の様な顔をしているわけではないがね。
猿と言うよりは寧ろ狐の様な気がするが別に端麗ではない。
服装はネクタイがよれていたりシャツが皴になっていたりする。
時には西部劇で馬に引き摺られて処刑される人間が穿いてた様な
穴だらけのジーンズというのか?を穿いて下穿きが見えていたり
髪の毛も時に時間の経ちすぎた支那そばの様になっていたり
それこそ髭の剃り跡も青いような時がある人間だがそれでも
オノン君は『萌え』らえるのだよ」
「うへえ、もうそこまで行くと幸福な現実逃避と言うよりは
特殊能力に近いですね師匠」
「特殊能力というか…オカルトの領域というか…
人間の脳の力の不思議だな、それは」
「何が不思議なものか。だからさっきも言ったじゃないか。
『萌え』る本人にとって『萌え』られる要素があれば
本人以外には不思議でもそれこそ本人にはどうでもいいのだ。
この世には不思議な事など何もないのだよ、関口君。
此処では本人が『萌え』られればそれが全てなんだ。
現実逃避だろうが理解不能の向こう側それこそ彼岸だろうが
本人が幸せならばそれでいいじゃないか。」
「…『萌え』ている時は束の間の幸せがあるんだな」
「ああ、だから『萌え』ている間だけ彼岸に行くんだ。
ただ束の間の彼岸だから此岸に戻ってくる。」
「彼岸に行けば幸せになれるのか…」
「幸せになりたいのかい?関口君。
幸せになることは簡単なことなんだ」
「簡単?」
「彼岸に行ってる間は束の間の幸せがある。
その彼岸から戻ってくると日常が待っている。
ずっと幸せでいたいなら、彼岸に行って戻ってこなければいい」
「彼岸から…戻ら…ない?」
「――だから人を辞めてしまえばいいのさ。」
(了)
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